8月の京都といえば大文字五山送り火。お盆の始めに迎えた先祖を送り出すこの行事では、闇にオレンジ色の字形が浮かび上がると、あたりに厳かなムードが漂います。灯された火を見ながら、「お精霊さんが帰らはる」という思いとともに「もう夏も終わりやなあ」と多少の寂しさを感じる京都人の気持ちを映し、しっとりとした時間が流れるのです。
しかし、京都の夏は静かに終わるだけではありません。お盆時を中心に京都市内各所で行われる六斎念仏は、お囃子と踊りで賑やかに残暑を盛り上げます。
六斎念仏とは、鉦(しょう)や太鼓で囃しながら、念仏を唱えて踊る民俗芸能。その起源は平安時代、空也上人がはじめたとされる踊り念仏にあるといわれます。仏教界の権威で一般庶民には無縁だった天台宗を、万人に広めるために考えられた踊り念仏。空也上人は、六斎日(毎月8、14、15、23、29、30日)になると市中で、親しみやすいこの念仏を唱えたのだそうです。
そんな民衆のための信仰は、京都市内の各所で受け継がれ変遷していきました。現在では、祇園祭の祇園囃子をより軽快なテンポにアレンジしたお囃子で踊ったり、獅子の曲芸や歌舞伎の演技などを取り入れたりと華やかな六斎念仏が数多く行われています。もちろん、古来の踊り念仏の姿を残すところも。
歴史の授業でも必ず出てくるこの踊り念仏、「一体どんな踊りなんだろう」と子供心に一度見てみたいと思った人も多いはず。今年は、教科書をひも解いて空也上人について学んだ後に、六斎念仏観賞はいかがでしょう。平安時代からの伝承と賑やかな夏の終わりを体感できますよ。 |