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京の小話 みやこの風
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京の春の花といえばやっぱり桜。3月にもなれば、京都の桜を特集した雑誌が各書店に並び、お花見気分も盛り上がります。けれど桜が満開になる少し前、京都の各所で鮮やかな花つける木があることをご存知でしょうか。椿もまた京都と深く関わって、京都の春を彩ってきたのです。今回はそんな椿のお話です。
椿と京都人の関わりは大変古いもの。7世紀後半の万葉集の時代から、その木を燃やしてつくった灰が、布を紫色に染めるときに使われていました。紫は古代より高貴とされてきた色。平安時代、京の都でも紫色は貴族たちに好まれて、椿の灰が非常に重宝されていたといいます。また、椿の実を絞った椿油も食用油、整髪料として古くから利用されてきました。生活の実用に使われてきたその花が観賞されるようになったのは、室町時代以降、茶道や華道が流行し始めてからのことだそう。華美ではない清楚な姿が茶道、華道や禅の世界に通じると考えられ、愛でられるようになったのです。
平安貴族の装束として、茶道や華道の心を表す花として、京の文化とつながりながら愛されてきた椿。現在でも京には数々の椿の名所がありますが、中でも特に「椿寺」として名を馳せるのが北野にある地蔵院です。見どころは、加藤清正が朝鮮出兵の際に持ち帰って豊臣秀吉へ献じ、その後地蔵院に寄進されたと伝わる「五色散り椿」。一つの木に白や紅色、うすピンク色など様々な色の花が咲きます。首から落花する一般的な椿とは違って、花びらが一枚一枚落ちる銘木。その見事な大輪の花々は、多くの人を魅了します。見頃時期は3月下旬から4月中旬と遅咲きなので、同じく北野に位置する桜の名所、平野神社で華やかなピンク色を堪能したあと、ちょっと足を伸ばしてみませんか。椿が語る侘び寂びの心を感じる春も良いものです。

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