さわやかな風に初夏の香りを感じるこの頃。そろそろさっぱりしたものが、おいしく感じられる季節ですよね。
この時期の京野菜といえば、「万願寺とうがらし」。唐辛子と聞くと、辛くて調味料として使うもの・・・という印象がありますが、万願寺とうがらしはちっとも辛くなく、そのままメインの食材としても味わえるのです。「とうがらしの王様」ともいわれ、5月中旬より旬を迎える京の夏野菜を一度食べてみませんか。
万願寺とうがらしは、京都府の北部、舞鶴市の万願寺で大正末期に誕生したといわれる品種。京野菜のもうひとつの唐辛子、「伏見とうがらし」と外国産の大型唐辛子を交配してつくられたのではないかといわれています。緑色でつやがあり、形は唐辛子と似ていますが、長さは約13cmと巨大。そしてヘタの下部のくびれが特徴的です。辛味はなく、むしろ甘味さえ感じられ、ししとうより肉厚、ピーマンより瑞々しくやわらか。おなじみの野菜のいいところが集結したような伝統の品です。
最も一般的な料理方法は、丸ごとあぶってかつおぶしをかけるだけと、ごく簡単。やわらかな先端部分ももちろんおいしいのですが、おすすめはヘタ部分。素材の味がたっぷり詰まって、夏の香りが口に広がるようです。さらには栄養豊富で、ビタミンCならピーマンよりも豊富と、一石二鳥ならぬ一石三鳥の良さを持った野菜。さっぱりした夏のひと皿にぴったりです。
しかし、ひとつご注意を。ししとうと同じで、ごくまれに非常に辛いものがあるのです。美味しいからといってたくさん食べると、「アタリ」の万願寺とうがらしに出会ってしまうかもしれませんよ。 |