堀川の一条付近にかかる一本の橋。それは、ゆらゆらと垂れ下がる柳のほとりにかかる一条戻橋(いちじょうもどりばし)、通称「戻橋」(もどりばし)。橋の名前は川の名前や、道の名前が一般的ですが、なぜここだけ「戻橋」となったのでしょう…。
今から1000年以上も昔の話。火事で亡くなった父親の葬儀の列に、修行に出ていた息子が、橋の上で悲しみの対面。息子が仏様に一心に祈ると、なんと、父親が生き返ったのです。以来、死者の蘇る、魂が戻る橋として「戻橋」といわれてきました。
戦時中は、この地に「戻れる」ように、と召集命令のかかった兵士たちが祈りをこめて橋を渡ったといいます。また、戦後の京都の人は、結婚式や縁談の時に、花嫁が「出戻る」ことを避けるためこの橋を渡らないよう注意したそうです。
戻橋の近くの晴明神社には実際に使われていた昔の橋があり、そのかたわらでは、安倍晴明がかつて橋の下に隠したといわれる「式神」が橋を見守っています。 |